測量点検の際、ドローンを導入する現場が増加しています。
人手不足の解消や、業務の安全性向上など、ドローンを使うことでさまざまなメリットがあるため、ドローン測量に興味がある方も多いかと思います。

そこで気になるのが、ドローン測量を始める際の費用や最低限の設備についてではないでしょうか。
今回は、実際にドローンによる測量を自社で始める場合、どれくらいの費用や設備が必要になるのかについてご紹介します。

※2020年10月時点での目安です。業界内の相場や機材のモデルチェンジなどによって変動することがございます。

必要な機材

ドローン

ドローンといえば、千円台のおもちゃのようなものから、農薬散布用の堅牢なものまでさまざまですが、測量に使用する場合は以下のことが必須条件になります。

・自動操縦で、指示されたルートを正確に飛行できる
・カメラやGPS、高度計など、航空測量に必要な機材を乗せられる(本体に内蔵されているタイプのものも存在する)
・画像処理、3Dデータ生成ソフトやアプリと連携して、測量用の「オルソ画像」や「点群データ」などの元となる連続写真を撮影できる

これらの条件を備えた機体はいくつかありますが、費用的には13万~200万円と大きく開きがあります。
その中でも初めてドローン測量を行う際におすすめな機体は次のものです。

おすすめ機体:DJI社 「Mavic2 Pro」

出典:Djiストア

2020年現在、測量用として実用に耐える最も安価なドローンは、DJI社の「Mavic Pro2」(13万円前後)ではないでしょうか。
本体にはカメラやGPS機能も内蔵されており、本体とコントローラーさえあれば測量にも活用できます。
また、DJI社が公式で無料配信しているアプリには、ルートを指定して自動で飛行させるモードも存在するため、操作がわかりやすいという点でも、初めての1台としておすすめです。

ただし、スペックに対して軽量さを売りのひとつにしていることもあり、高度や風の強い場所での撮影の場合、高額な機種に比べると風の影響を受けやすく、やや安定しにくいといった点があることには注意が必要です。

おすすめ機体:DJI社 「Phantom4 Pro V2」

出典:DJI phantom-4-pro-v2

「Phantom4 Pro V2」(20万円前後)は、上述のMavic2 Proと同じく、DJI社が販売しているドローンです。
カメラやGPSは本体に内蔵されており、こちらも本体とコントローラーがあれば測量を行うことができる機体です。
Mavic2 Proに比べてやや重量があり安定性が高いことや、レンズが広角に作られていてより低空での撮影も可能なことが特徴であり、より多くの状況に対応できるドローンです。
操作性に関してはMavic2 Proと同様DJI社製の無料アプリで操作可能であり、非常に使い勝手の良い機体です。

また、さらに価格は上がりますが、測量用としてより精密な操作が可能な「Phantom4 RTK」というモデルも販売されています。
Phantom4シリーズの機体は測量におすすめな機体といえるでしょう。

ただ、一つだけ注意点があります。それは、飛行時の音が大きいことです。
周囲の状況によっては、測量時に騒音として注意される可能性もあります。Phantom4 Pro V2で測量を行う際は、場所や時間帯などに配慮すると良いでしょう。

カメラ(カメラが付属していないドローンの場合)

ご紹介した機体にはありませんでしたが、大型のドローンの場合、カメラが本体に付属しておらず、一眼レフやミラーレスカメラなどを接続して撮影するタイプのものもあります。

特徴として、カメラとドローン本体の重さを支えてを飛ぶため、ドローン本体が非常に大型に作られており、飛行中の安定感は抜群です。

また、高度でも十分使用に耐えるほどの高画質で撮影できるため、大規模の測量に向いています。

ドローンから取り外して普通のカメラとしても使用できるため、臨機応変な対応が可能なこともメリットのひとつです。

一方で、本体に加えてカメラや接続キットなどの費用も必要になるなど、新規でひと通り購入しようとすると高額になることや、ドローン備え付けタイプのものに比べて、結露などによるカメラの故障リスクが高いことなどの注意点もあります。

専用のレーザー測量装置

ドローンによる写真撮影では、地表までに木々や構造物などが立ち並んでいた場合に地表が隠れてしまい、地形のデータが取得できない可能性があります。
それらの場所では、レーザー測量が必要になってきます。

地上でのレーザー測量やセスナ機からのレーザー測量などと同様、ドローンも専用の装置を取り付けることでレーザー測量が可能です。
セスナ機に比べて低空で飛行できるためより多くの点群データを取得できるほか、土砂崩れの現場や河川といった人が簡単に進入できないような場所でも問題なく飛行してデータを取得できるメリットがあります。

反面、導入費用は決して安くなく、1000万円近い金額が必要となります。
自社運用するのか、外注するのか、十分に検討を重ねましょう。

PC・画像解析ソフト

ドローンに限らず、測量は撮影して終わりではなく、撮影した膨大なデータをオルソ画像や地形図、3Dモデルなどに落とし込まなければいけません。

そのためには、画像解析ソフトとそれを扱うPCが必要です。
測量する規模や扱うデータによって、PCに要求されるスペックは異なりますが、解析ソフトが推奨しているスペックがあれば最低限問題はなく、ノートPCで測量することも可能です。

すでに地上測量をしているのであれば、必要なスペックのPCは持っていると思いますので、ここは割愛しても問題ありません。

費用は10万円台~数百万円とスペックに応じて大きく変動しますので、自社の目的に最適なものを購入しないと、必要なときに動かなくなったり、過剰なスペックを持て余すことになったりします。

おすすめは「BTO」です。
BTOとは、「Build To Order」の略で、受注生産という意味。
ユーザーの用途・目的に合わせたPCを組み立ててくれるサービスで、測量向けのものは画像解析・CAD向けなどの紹介をされています。
「BTO パソコン」などのキーワードで検索してみると良いでしょう。


解析ソフトは大きく分けて、PCにソフトをインストールする「デスクトップ型」とネットのクラウド上で動作する「クラウド型」の2種類があります。
デスクトップ型はPC内にインストールしたソフトを使って解析するので、クラウド版に比べて場所を選ばず、山奥などクラウドに接続できない場所でも動作するのが売りです、ただ、クラウド型に比べると要求されるスペックが高くなりやすいのも特徴です。
クラウド型はデスクトップ型と異なり、画像の解析をクラウド上で行うことから、PCのスペックに影響されにくいという点が魅力です。
また、完成したデータをクラウド内にいる他のスタッフに共有することもでき、デスクトップ型に比べて手軽さのメリットが高いです。
しかし、クラウド型は使用する場所のネット環境に大きく影響されます。
ネットがつながらない山奥などでは使えないこともしばしば。使用する用途に合わせ、まずは必要なソフトを探し、それに見合ったPCを購入すると良いでしょう。

必要な資格

測量士/測量士補

ドローンを使う場合であっても、行うのが測量である以上、従来の地上測量と同様、操縦者には測量士または測量士補の国家資格が必要になります。
また、各営業所ごとに測量士を一人以上置かなければならない点も、従来の地上測量とまったく同じです。

「ドローンの操縦」に資格は必要・・・?

では、ドローンの操縦をする人は資格が必要なのでしょうか?

実は、ドローンの操縦に関して必須資格というものはありません
そのため、通常の地上測量と同じく測量士、あるいは測量士補の資格を持っていれば問題ありません。国家資格ではありませんが、民間の企業や団体による認定資格はいくつか存在します。取得することでドローンを適切に操縦できる企業・人材としてアピールできるため、時間や予算に余裕のある方は取得してみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は、自社でドローン測量を行うまでに必要な機材や費用、資格などについてご紹介しました。
ドローン測量に興味のある方、またドローン測量を検討している方のご参考になれば幸いです。
気になる点やご不明な点などあれば、お気軽にご連絡ください。

また、弊社では高機能ドローン測量サービスを承っております。
岡山県をはじめ、47都道府県どこでも対応させていただきますので、ドローン測量をご検討されている方は是非ご相談ください。

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