無視できない、パソコンと差がないスマートフォンの普及率

総務省が発表した「平成29年度情報通信白書」によれば、2016年の情報通信端末の世帯普及率は「スマートフォン(以下、スマホ)」が71.8%と、「パソコン(以下、PC)」の73.0%に1.2ポイント差にまで縮小している、と報告しています。また、同年の「スマホ」の個人保有率が56.8%(前年比3.7ポイント増)と上昇していて、モバイル端末全体(スマホ及び携帯電話・PHSを含む)においても、その保有率は83.6%(同2.2ポイント増)と上昇傾向にある、とも報告しており、この傾向は今後も続くことが予想されます。

この白書の統計データが示すものとは、「スマホ」が情報通信端末として「PC」と肩を並べるくらい普及しており、今や二人に一人以上の人が「スマホ」を所有している、と言うことなのです。

つまり、それは人がネットサービスを利用しようとする時、手軽でより身近なモノとなった「スマホ」を手に取る機会が多くなっている、とも言えるでしょう。

さらに、この白書を裏付けるようなエピソードの一つとして、「J-CASTニュース」に『「スマホOK、PCは使えない」 そんな新人が急増中、「被害」報告相次ぐ』という記事があります。この記事では、「スマホ」利用が中心となっている10~20代の若年層が「PC」を使わない、使えないという事例を紹介しています。

また、「NEWSポストセブン」の『パソコンを使えない新入社員増 スマホネイティブの弊害』という記事においても、世帯普及率が約50%になった2012年を契機に、その年の4月に大学入学し、2016年3月に卒業して新社会人となった新入社員たちの「PC」離れによる問題点を紹介しています。

これらの記事では、10~20代の若年層における「スマホ」利用に関する事象に触れていますが、ポケットやカバンからサッと取り出して、ほぼ「PC」と変わらない機能を手元で実現する「スマホ」の優位性は、異なる年齢層でもほぼ変わることがなく、今後、個人で「PC」を利用する機会が減っていくことを推察するのはカンタンです。

しかも、この傾向は日本だけに留まらず、海外においてはさらに拡大しており、そのことは最近のGoogle社の動向からもうかがい知ることができます。

Google社が「モバイルファーストインデックス」を導入

さて、このブログをご覧の皆さんの中には、インターネットで何か調べものをする時、Google検索を利用される方も多いのではないでしょうか?

そのGoogle検索を提供するインターネットサービス最大手のGoogle社が2018年2月に、同年4月から「モバイルファーストインデックス」を順次導入していくことを発表しました。

では、「モバイルファーストインデックス」とは何なのでしょうか?

ざっくり言ってしまえば、Google検索におけるランキング(検索順位)決定の評価対象を、PC版コンテンツからモバイル(スマホ)版コンテンツへ移行するということであり、その評価に基づいてモバイル版Google検索における検索順位のみならず、PC版Google検索における検索順位も決める、ということになります。

そこには、Google社がより多くのWEBサイト運営者にPCサイトだけでなく、モバイルサイトの更新も同様に重視させることで、モバイル利用者にとって、そのモバイルサイトが有用で使いやすいものであること(以下、モバイルフレンドリー)を促進する意図があります。

つまり、それは「スマホなどのモバイル端末の利用者にとっても使いやすいWEBサイトを作ってね!」ということなのです。

これは、モバイル端末からネットを利用しているユーザー数がPCユーザーの約2倍以上となっている、世界的なモバイルシフトの加速を受けての施策であり、WEBサイトのモバイル対応が遅れることは、あなたの会社のサービスや商品などがインターネットを通じて、多くの人々の目に留まる機会を逸してしまう可能性が多分にある、と言えるかもしれないのです。

なお、今回の「モバイルファーストインデックス」は、ランキングアルゴリズムの更新ではありません。

しかしながら、Google社は…

デスクトップ端末かモバイル端末かに関わらず、すべてのユーザーに素晴らしい検索体験を提供し続ける点は変わりません。

…とユーザーファーストを明言していることからも、サイト利用者にもたらすことのできる恩恵(コンテンツの質、使い勝手の良さなど)の最大化に注力することは、正当な評価を受けるための不変の取り組みである、とも言えます。

また、これまでのランキングは当面保たれるものの、今後「モバイルファーストインデックス」の浸透が深まれば、それらの変動はまず避けられないでしょう。

ちなみに、今回の「モバイルファーストインデックス」を無視してモバイル対応を怠ったとしても、検索結果に全く表示されなくなるということはない、みたいです。

あなたのWEBサイトは「モバイルフレンドリー」?

ところで、今回の「モバイルファーストインデックス」の導入を契機に、あなたの会社のWEBサイトのモバイル対応が「モバイルフレンドリー」であるかどうかをチェックしてみてはいかがでしょうか?

モバイル利用者がネット利用者の大半を占めるようになってきた現状の中で、たとえコンテンツの質が高くても、モバイル利用者にとって「使いにくい、わかりづらい」WEBサイトでは、利用者の足が遠のいてしまう要因となり、望んでいない機会損失が生まれてしまう可能性があるからです。

今後も増加傾向にあるモバイル利用者の利便性にも配慮した「モバイルフレンドリー」なWEBサイトを用意することは、そのサイトの評価を保持するための必須条件と言っても過言ではないでしょう。

そうなると、どのようなものさしで「モバイルフレンドリー」を推し量るべきなのか、となるのは当然のことです。そこで、Google社では「モバイルフレンドリーテスト」という「モバイルフレンドリー」をチェックするためのツールを提供しています。ぜひとも活用ください。

でも、モバイル対応していないWEBサイトはどうすればいいのでしょう?

Google社は…

デスクトップ版のサイトしか存在しない場合、Googleは引き続きデスクトップ版のサイトをインデックスします。モバイルユーザーエージェントを使用してアクセスする際も問題ありません。 デスクトップユーザーにとって使いやすいサイトは、壊れたり不完全なモバイルサイトよりも、モバイルユーザーにとって好ましい場合があります。モバイルサイトを作成する際は、サイトが完成し準備が整ってから公開することをおすすめします。

…とGoogleウェブマスター向け公式ブログの『モバイルファーストインデックスに向けて』の中でも触れています。

つまり、慌てて中途半端なモバイル対応したWEBサイトを用意するくらいなら、しっかり構成されたPCサイトだけの方がマシだから、ちゃんと準備してからモバイル対応してね、ということです。

まとめ

今回は、「モバイルファーストインデックス」をキーワードにして、「スマホ」普及によるモバイルシフトの加速と、それに伴う「モバイルフレンドリー」の重要性について紐解いてみたわけですが、何よりも大切なことが一つあります。

それは、すべてはユーザーのためであること。

今回取り上げた「モバイルファーストインデックス」は、ユーザーファーストを実現するアプローチのうちの一つに過ぎません。
ユーザーにとって有益なコンテンツを提供することこそが、WEBサイトの評価を高める一歩だ、ということを見誤らないようにしたいものです。