AIによる【SaaSの終焉】は地方中小企業にも影響を与えるのか
こんにちは、岡山のweb制作・マーケティングの株式会社きびだんご、ディレクターのひろせです。
近年、AI技術の急速な発展により「SaaSの終焉」という言葉が聞かれるようになりました。
特に最近話題のAnthropicのClaude codeでさらに火が付いて欧米だけでなく日本企業の株価にも影響が広がっているように感じます。
「SaaSの終焉」とは、生成AIを活用すれば、各企業が独自のシステムを構築できる時代が到来し、従来のSaaS(Software as a Service)モデルは不要になるという議論です。
確かに、実際に私個人もエンジニアではないですが、ひとりでカンタンなシステムは作れるようになりました。大企業でさらにエンジニアがいればfreeeやセールスフォースのようなシステムも自社用に作れてしまうんだろうなーとは思います。
しかし、この流れは本当に岡山のような地方中小企業にも影響を与えるのでしょうか?
ウェブ制作・広告会社として多くの地方企業とお付き合いしてきた立場から、現実的な視点でこの問題を考えてみたいと思います。
目次
中小企業の壁①AI時代でも残る「人材の壁」
理論上、AIを活用すれば誰でもシステムを構築できる時代になりました。しかし、地方中小企業の現場を見ると、そう簡単な話ではありません。
最大の課題は「AI人材の不足」です。都市部の大企業であれば、AIエンジニアやデータサイエンティストを採用できるかもしれません。しかし、地方の中小企業において、そうした専門人材を確保することは極めて困難です。求人を出しても応募がない、あるいは給与水準が合わないという現実があります。
例えば、最近人気のClaude Codeで勤怠システムを作ったとしましょう。しかし、そこから先が問題です。どのようにして全社員が使えるようにするのか。アプリにするのか、ウェブブラウザで各個人がログインできるようにするのか、サーバーはどこに置くのか。セキュリティはどう担保するのか。こうした環境構築まで考えて実装できる人材は、本当に地方企業に存在するのでしょうか。
AIツールが「システムを作る」ことは手伝ってくれても、「それを実際に運用する」段階では、依然として専門的な知識と経験が必要なのです。
さらに重要なのは、仮にAIに詳しい人材がいたとしても、その人材だけで企業全体のDXを推進することはできないという点です。システムは作れても、それを全社員が使いこなせなければ意味がありません。
中小企業の壁②「新しいものへの即課金」の感覚
AI活用には必ずついてくる課金。チャットGPTに月額払ってるからOKという話ではありません。
システム構築しようと思うとGoogleのAIstudioを使うかClaudeを使うか。。というAIの選定の話になりますが、そこには数回の課金の壁があります。
決裁の柔軟さは企業によるかと思いますが、「また課金するんか」「それ課金してほんとに作れるんか」という社長や部長の言葉が容易に頭に浮かびます。
中小企業の壁③「新しいシステム」への根強い抵抗感
私たちがウェブ制作やシステム導入のご相談を受ける中で、最もよく直面するのが「社員の抵抗感」です。
長年使い慣れた業務フローや紙ベースの管理方法を変えることに、多くの社員が強い不安を感じます。「今のやり方で何が悪いのか」「新しいシステムを覚える時間がない」という声は、年齢や役職を問わず聞かれます。
特に地方中小企業では、従業員の年齢層が高いケースも多く、デジタルツールへの慣れにも個人差があります。AIで構築した独自システムがどれだけ優れていても、使う人が使いこなせなければ、それは「優れたシステム」とは呼べません。むしろ、業務の混乱を招き、生産性を下げる結果になりかねないのです。
SaaSが持つ「定型化」という強み
ここで改めてSaaSの価値を考えてみましょう。SaaSの本質は、多くの企業に共通するニーズを標準化し、すぐに使える形で提供することにあります。
会計ソフト、顧客管理システム、勤怠管理ツールなど、業種や企業規模を問わず必要とされる基本機能は、すでに洗練されたSaaS製品として存在しています。これらは長年の改善を経て、使いやすさやサポート体制が整っています。
地方中小企業にとって、こうした「すぐに使える」「サポートが受けられる」という点は非常に重要です。独自システムを構築すれば、トラブル時の対応も自社で行わなければなりません。しかし、SaaSであれば、ベンダーのサポートを受けることができます。この安心感は、IT専任者がいない企業にとって大きな価値なのです。
本当に必要なのは「独自性」なのか
AIによる独自システム構築が可能になったとしても、すべての企業がそれを必要としているわけではありません。
多くの地方中小企業にとって重要なのは、競合との差別化を「システム」で行うことではなく、提供する商品やサービスの質、地域に根ざした信頼関係、きめ細かな顧客対応といった部分です。業務システムは、こうした本質的な価値提供を支える基盤であり、それ自体が目的ではありません。
むしろ、業務の基盤となる部分は実績のあるSaaSに任せ、経営資源を商品開発や営業、人材育成といったコア業務に集中させるほうが、企業としての成長につながるのではないでしょうか。
地方中小企業にとっての現実的な選択
では、地方中小企業はどのような道を選ぶべきでしょうか。
私たちウェブ制作会社の立場から見ると、今後も多くの企業にとってSaaSは重要な選択肢であり続けると考えています。ただし、その「選び方」や「使い方」は変わっていくでしょう。
AI技術の発展により、SaaS製品自体もより賢く、カスタマイズしやすくなっています。ノーコード・ローコードツールの進化により、専門知識がなくても一定のカスタマイズが可能になりつつあります。つまり、「完全な独自システム」と「画一的なSaaS」の中間的な選択肢が増えているのです。
重要なのは、自社の規模や人材、業務の特性を冷静に見極め、本当に独自システムが必要なのか、既存のSaaSで十分なのかを判断することです。そして、どちらを選ぶにしても、社員がしっかりと使いこなせるよう、十分な教育と時間を確保することが不可欠です。
おわりに
「SaaSの終焉」は、あくまで一部の先進的な企業における動きであり、地方中小企業の現実とは大きく乖離していると思います。
AI人材の不足、新システムへの抵抗感という二つの大きなハードルは、現時点ではまだまだ強固なハードルに感じます。
むしろ、地方中小企業にとっては、これまで以上にSaaSの価値が高まる可能性すらあります。使いやすく、サポートが充実し、すぐに導入できるSaaSは、限られたリソースで効率的に業務を進めたい企業にとって、最も現実的な選択肢だからです。
そのSaaSにプラスアルファで機能が欲しい、事務を軽減したい、そんなピンポイントの機械作業があれば、お気軽にお問い合わせください。