Web広告の予算の決め方|月額いくらから始めるかを逆算で考える
こんにちは!岡山のWeb広告運用会社きびだんごです。
「Web広告を試してみたいけれど、月にいくら用意すればいいのか分からない」という相談をよくいただきます。月3万円で足りるのか、30万円必要なのか、判断材料がないまま金額だけ決めてしまうと、結果が出たのか出なかったのかも分からないまま終わってしまいます。
この記事では、Web広告の予算を「ほしい件数」と「1件にいくらまで払えるか」から逆算する考え方を整理します。あわせて、少額で始めたときに何が分かって何が分からないのかも、正直にお伝えします。
予算は「使える金額」ではなく「ほしい結果」から決める
予算の決め方でよくある失敗は、「とりあえず余っている販促費のうち月5万円」といった決め方です。この決め方が悪いわけではありませんが、それだけでは「5万円で何件取れたら合格なのか」が決まりません。合格ラインがないと、続けるべきか止めるべきかの判断ができません。
順番としては、次の3つを先に決めます。
- 月に何件の問い合わせ・申し込みがほしいのか(目標件数)
- 1件の問い合わせにいくらまで払えるのか(許容獲得単価)
- 問い合わせから受注・来店につながる割合はどれくらいか(成約率)
この3つが決まれば、必要な月額予算はかけ算で出ます。「目標件数 × 許容獲得単価 = 月額予算の目安」という単純な式です。
許容獲得単価はこう計算する
許容獲得単価(CPA=1件の問い合わせを得るのにかけられる上限金額)は、粗利と成約率から計算します。
たとえば1件受注したときの粗利が20万円、問い合わせ10件のうち2件が受注になる(成約率20%)としましょう。問い合わせ1件あたりの期待粗利は20万円 × 20% = 4万円です。このうちどれくらいを広告費に回せるかは会社の方針によりますが、仮に4分の1までとすれば、許容獲得単価は1万円になります。
| 業種イメージ | 1件の粗利 | 成約率 | 問い合わせ1件の期待粗利 |
|---|---|---|---|
| 住宅リフォーム | 30万円 | 20% | 6万円 |
| BtoBの部品加工 | 15万円(初回) | 25% | 3.75万円 |
| 美容・治療系の店舗 | 1.5万円(初回) | 60% | 0.9万円 |
表の数字はあくまでイメージです。自社の実際の数字を入れて考えてください。ここで大事なのは、リピートや継続のある商売なら「初回の粗利」ではなく「生涯で得られる粗利」で考えてよい、という点です。店舗サービスのように2回目以降の来店が見込める場合、初回だけで採算を見ると予算が小さすぎる判断になりがちです。
月額予算を出してみる
許容獲得単価が1万円で、月に10件の問い合わせがほしいなら、月額予算の目安は10万円です。5件でよければ5万円です。逆に、用意できるのが月5万円で、許容獲得単価が1万円なら、期待できるのは月5件前後という見立てになります。
この計算をしておくと、「月5万円で問い合わせ30件」のような現実的でない期待を持たずに始められます。期待値をそろえておくことが、広告を続けられるかどうかの分かれ目になります。
クリック単価から下限予算を検算する
逆算で出した金額が、そもそも広告の仕組みとして成り立つかを確認します。ここで使うのがクリック単価(1クリックごとに課金される金額)と、サイト上での申し込み率です。
計算式は「クリック単価 ÷ 申し込み率 = 1件あたりの獲得単価」です。クリック単価が100円、サイトに来た人のうち2%が問い合わせるなら、100円 ÷ 2% = 5,000円が1件の獲得単価になります。
クリック単価は業種や競合の状況で大きく変わります。地域名を組み合わせた検索語なら数十円台で済むこともありますし、競合が多い業種では数百円から千円を超えることもあります。変動の理由についてはクリック単価はなぜ変動するのかで詳しく触れていますので、あわせて読んでみてください。
月に何クリック集められるかを見る
月額予算をクリック単価で割ると、月に集められるクリック数が出ます。
| 月額予算 | クリック単価100円の場合 | クリック単価500円の場合 |
|---|---|---|
| 3万円 | 約300クリック | 約60クリック |
| 10万円 | 約1,000クリック | 約200クリック |
| 30万円 | 約3,000クリック | 約600クリック |
申し込み率を2%とすると、300クリックで期待できる問い合わせは6件、60クリックなら1件程度です。クリック単価が高い業種で月3万円だと、月に1件入るかどうかという水準になります。この場合、予算を上げるか、クリック単価の安い検索語に絞るか、そもそも広告以外の手段を検討するかの判断が必要です。
少額スタートで分かること・分からないこと
初めての広告なら、いきなり大きな金額を入れずに小さく試すのは妥当な進め方です。ただし、少額には限界があります。ここを理解せずに始めると「効果がなかった」という誤った結論を出してしまいます。
少額でも分かること
- 自社のサービスに関する検索がどれくらいあるか(表示回数で分かる)
- どんな検索語で広告がクリックされているか
- クリック単価の実際の水準
- サイトに来た人が申し込みフォームまで進んでいるか
特に「クリックはされているのに問い合わせがゼロ」という状態が見えるだけでも価値があります。それは広告の問題ではなく、受け皿となるページの問題だと分かるからです。原因の切り分け方は問い合わせが来ないホームページの原因チェックリストにまとめています。
少額では分からないこと
- どのバナーや文面が良いかの比較(比べるには一定のクリック数が必要)
- 安定した獲得単価の水準(件数が少ないと数字が偶然で動く)
- 自動入札の性能(機械学習にはある程度の成果データが必要)
- 季節による変動
たとえば月3万円で2件取れた月があっても、翌月は0件かもしれません。件数が1桁だと、そのブレが実力なのか偶然なのか区別できません。判断するには、目安として20〜30件程度の成果データが集まることが望ましく、それには複数月かかります。
そのため少額で始める場合は、「1か月で判断する」のではなく「3か月分の総額で判断する」と決めておくほうが現実的です。月5万円なら3か月で15万円、その範囲で得たデータをもとに続ける・やめる・増やすを決めます。
予算配分で見落としがちな3つの費用
広告予算を考えるとき、媒体に払う広告費だけを見ていると後で足りなくなります。実際には次の費用もかかります。
1. 受け皿となるページの制作費
広告をクリックした人が着地するページが整っていないと、クリック単価をいくら下げても成果は出ません。既存のサイトで足りる場合もありますが、サービスを絞って訴求したいなら専用のランディングページを用意したほうが成果は安定しやすいです。ランディングページ制作のページでは、どんな構成のページを作れるかを紹介しています。
2. バナーや動画などのクリエイティブ費
検索広告は文字だけで出せますが、InstagramやYouTubeなどに出す場合は画像や動画が必要です。最低限そろえるサイズや媒体ごとの規定はWeb広告のバナーサイズ一覧で整理しています。クリエイティブは1種類では比較ができないので、複数パターン用意する前提で見積もっておくと安心です。
3. 運用の手数料または自社の作業時間
代理店に任せる場合は手数料がかかります。広告費に対する一定割合、または最低固定額という形が一般的で、少額だと固定額のほうが適用されることが多いです。自社で運用するなら手数料は不要ですが、検索語の確認や入札調整に毎週時間を取る必要があります。どちらが安いかではなく、どちらが続けられるかで選んでください。
媒体の選び方と予算の目安感
予算が限られているときは、媒体を1つか2つに絞るほうが結果が読めます。3媒体に5万円ずつ分けるより、1媒体に15万円入れたほうがデータがたまります。
| 媒体タイプ | 向いている状況 | 注意点 |
|---|---|---|
| 検索広告 | すでに探している人がいる(修理・業者探しなど) | 検索数が少ないと予算を使い切れない |
| SNS広告 | まだ知られていない商品・地域の認知づくり | すぐの問い合わせにはつながりにくい |
| 動画広告 | 伝えたい内容が文字では説明しにくい | 制作費が別にかかる |
「自社のサービスを探している人がそもそも検索しているか」を先に確認するのが近道です。検索数が極端に少ない商材だと、検索広告に予算を入れても消化しきれません。その場合はSNS広告やショート動画で知ってもらう側に回ります。情報の入り口が変わってきている状況については「LP+広告」黄金パターンの崩壊とショート動画の台頭でも触れています。
なお、広告費そのものは補助金の対象外になることが多い一方、ホームページやランディングページの制作費は対象になる場合があります。岡山県のデジタル化補助金を活用したWeb改善のページで、使える制度の考え方を確認できます。
予算を決めるときのチェックリスト
最後に、広告を始める前に確認しておきたい項目をまとめます。
- 1件受注したときの粗利を把握しているか
- 問い合わせから受注になる割合をおおよそ言えるか
- 許容獲得単価を金額で決めたか
- 月に何件ほしいかを数字で決めたか
- 判断する期間(何か月分で見るか)を決めたか
- 電話やフォームからの問い合わせを記録する仕組みがあるか
- 受け皿のページに、価格帯・対応エリア・実績が書かれているか
特に最後の2つが抜けていると、広告の良し悪しを測れません。問い合わせがどの経路から来たか分からないままだと、広告費を増やす判断も減らす判断もできなくなります。電話の場合は「どこで見ましたか」と聞くルールを作るだけでも、精度は上がります。
自社の数字でどう組み立てるか迷う場合は、無料サイト診断で現状の受け皿を見てから予算を考えるのも一つの手です。広告の運用と制作をまとめて外に任せたい場合は、まるごとWEB運用担当者のページで、どこまでを外部チームに任せられるかを確認できます。
よくある質問
月3万円でもWeb広告は意味がありますか
目的を限定すれば意味があります。たとえば「自社のサービスがどんな言葉で検索されているかを知る」「ページに来た人が申し込みまで進むかを見る」といった確認には使えます。一方で、複数のクリエイティブを比較したり、安定した獲得単価を出したりするには足りないことが多いです。月3万円で始めるなら、3か月分の合計で判断すると決めておくことをおすすめします。
最初の予算はどのタイミングで増やすべきですか
獲得単価が許容範囲に収まっていて、その状態が2か月以上続いているなら増額を検討する段階です。増やすときは一度に倍にするのではなく、2〜3割ずつ上げて単価が悪化しないかを見るほうが安全です。予算を増やすと配信範囲が広がり、確度の低い層にも届くため、単価が上がることがあります。
広告をやめたら問い合わせはゼロに戻りますか
広告経由の分は止めた時点で減ります。そのため、広告と並行して検索から自然に見つけてもらう対策や、既存のお客様への案内も進めておくほうが安定します。広告は蛇口を開けている間だけ水が出る仕組みと考え、長期的には自社サイトの内容充実とあわせて組み立てるのが現実的です。